〈あらすじ〉
「異父兄がプラハに住んでいる」。母の奈緒子が打ち明けた、家族の秘密。母を亡くした28歳の榛名は一人でプラハに旅立った。正体を隠して、兄・聡をガイドに雇った榛名。榛名、奈緒子、そして聡といくつも視点を変えて描かれる家族の歴史。二人の人生には哀しくも美しいドラマが隠されていた。
小池真理子が切り拓く文学の新たな地平!
哀しみに満ちた記憶を嘆く必要はない。それは、自分が懸命に生きたという美しい証なのだから。
〈感想〉
そーいえば、もう一冊読んでなかった小池真理子さんの小説があった…(←発売されたらすぐに買い、大抵の場合はすぐに読むのだが…)と思いだし、昨日の夜、今朝で一気に読んだ。
いろんな視点から奈緒子の人生が描かれている長編小説。
一番心に残ったのは、「我々は戦士だ」の章。
「別に革命家やテロリストじゃなくても、私たちだって、いつも戦ってるじゃない、いろんなことと。生きてくことは大変で、でも生きている以上、死ぬわけにいかないから、死ぬまで戦って生きていくしかなくて…。みんな同じで…。そう思えば、なんだか救われる感じがする。私たちも戦士なのよ。兵士じゃなくて、戦士。企業戦士、っていう意味の戦士でもなくて、人生を戦いながら生きていく戦士」と、奈緒子の言葉。
小説は、どこまでも小池真理子さんの世界で… 読み終えた時は、ベッドに身体が沈み込んでいくような感じでした。